ブログにはプロフィールを公表する人が多い。しかし自分には公表するような肩書きや経歴はないし過去の自分で勝負するような人間にはなりたくない。気づいたこと感じたことを自由に書き込んでいきたい。

2008年12月05日

市町村合併と今後

道州制以前に市町村合併があった。
佐賀県内でも49市町村が20市町に再編され、市町村合併は一段落した。
合併の効果を眺めてみると、総じて全国的にあまり芳しい状態ではなく、
特に人口の少ないところ同士で合併した地域の衰退ぶりは、予想以上に
大きいとのこと。

このような苦しい事態を招いた原因はなぜか。
単純に力を合わせて大きくなれば何とかなるという思い込みにもある。
結果的に合併は足し算ではなく、かけ算になっているようだ。
合併は一以上の力を持ったところが連携したらその力は発揮されるが、
一に満たない力しか持たないところはその逆。
つまり0.8のまち同士が合併した場合、0.8+0.8=1.6ではなく、
0.8×0.8=0.64になってしまう。
さらに財政面での厳しい現実を突きつけられ、夢と希望を持って誕生した
新しい自治体は動揺し、自らが本来持っていなければならなかったはずの
地域のテーマや政策が、その動揺とともに吹き飛んでしまった。

合併の原点は全国どこでも豊かな自治を生み出すことにあったはずなのに、
理にかなわない地域間格差を生み出している現実に対して不安を感じる。
市場原理の導入と歳出の削減だけを求めて、地方に十分な財源を与えない
ままでいると、豊かな自治をつくるどころか、行政サービスを縮小させること
だけを考えなければならなくなり、本末転倒である。

自治体には教育や福祉、地域の生活を守るという最も大切な課題がある。
教育や福祉の現場は収支のバランスの問題で対処すべきではなく、目には
見えない大切な喜びや必要性があるということを国は再認識すべきだろう。

厳しい時代だからこそ地方においても行財政改革の重要性は理解しているが
住民や業界の率直な不安にどう対処していく考えなのか。
地域住民、現場での士気の低下を招かないように配慮することも必要だろう。
こうして生み出された経費を、いかに活力創造のために活かせるかが重要で
単なる数字の切捨てになってはならない。
観光業、商工業、農業などの基幹産業育成のために活用すべきではないか。
地域の再生に思い切った政策を打ち出すことはできないだろうか。
全国が注目するほどの突出した予算を組むことはできないだろうか。
そういう意味では、当初予算主義にとらわれず、年度途中でも要望が強く、
効果的な事業には集中的に使うことが賢明だ。
でなければ再生の芽は生み出されない。
沈んだまま浮き上がる気配さえない経済情勢のなか、現場の瀬戸際の要望に
政治や行政がどう答えていくのか。
師走の12月県議会、市町村議会開会中のなか、新しい年、それを展望するに
ふさわしい活発な議論に大きな期待を寄せていきたい。


Posted by 嬉野温泉 at 07:15│Comments(2)
この記事へのコメント
赤字でアップアップの自治体同士で合併しても、
おっしゃるとおり、0.8×0.8にしかなりません。
アップアップにさせてしまった首長の責任を曖昧にすること、
そして、職員削減による行政サービスの後退こそが
この市町村合併だったとしか思えません。
顔つくりだけの行政出身の首長を選ぶより
現実のスピードを認識し、それを行政に活かせることが出来る人を
民間から選出し、行政自体を変えていかないと、
もちろん、議会も変わっていかないと
住民のほうではなく、国のほうを向いた自治体ばかりになってしまいますよね。
Posted by 黒毛和牛の怪人 at 2008年12月07日 18:40
コメントありがとうございます。
首長や自治体だけの問題ではなく、国が地方に対して財源保障を縮小し、地方財政に市場原理主義を押し付けていることにもあると思います。
またこれからは地方分権よりも住民自治の方が大事だと思います。
国からの権利を分け合うことよりも自分たちで決めることの方が大事です。
Posted by 嬉野温泉 at 2008年12月08日 00:14
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